初めてボルダリングジムに行った日、2級の壁にすら手が届かなかった。
隣のレーンでは、常連らしき人がすいすい登っている。同じ壁なのに、自分だけ全然違う競技をしているみたいだった。
3回通って、行かなくなった。
「向いてなかったんだと思う」
ボルダリングが続かない、よくある理由
半年後、別のジムでまた始めてみた。今度は少し続いた。でも、なぜ最初のジムで辞めたのか、理由がわかってきた。
伸びているのかどうかが、自分でわからなかったのだ。
ボルダリングは筋トレと違って、重量やタイムのような単純な数字がない。今日登れた課題が、先週と同じ級なのか、実は少し難しいのか。感覚だけだと判断がつかない。しかも一度できた課題も、少し間が空くと登り方(ムーブ)を忘れてしまう。
「これ、前も同じところで落ちた気がする」
同じ壁で同じように落ちると、進んでいる実感がまったくない。だから、辞める。
記録をつけてみることにした
きっかけは単純で、ジムの常連さんが手帳に何か書き込んでいるのを見たからだ。
「何を書いてるんですか」と聞いたら、その日触った課題と結果をメモしているという。真似して、自分もスマホのメモにその日の内容を残すようにした。
最初は面倒に感じた。登った直後は疲れているし、正直それどころではない。だから欲張らず、書く項目を絞った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付とジム名 | いつ、どこで登ったか |
| 触った課題の級 | 2級、3級など |
| 完登できたか | できた/あと一歩/全く歯が立たない |
| 次回へのメモ | 気づいたムーブや課題番号 |
この程度なら、着替えながらでも入力できる。
記録があると、見えてくるもの
数週間分たまると、感覚では見えなかったことが見えてくる。
まず、挑戦した級の分布。「最近3級ばかり触ってる」と気づけば、あえて2級に挑戦する日を作れる。逆に、同じ級で足踏みしている期間が長ければ、それも一目でわかる。
もうひとつは、次回へのメモの価値だ。
「あの課題、右足を先に上げると届く」
こうした気づきを書いておくと、次に同じ課題に戻ったとき、ゼロからやり直さずに済む。ムーブを覚えていない状態と、ヒントが残っている状態では、上達の速度がまるで違う。
ジム選びにも記録が使える
通っているうちに、行くジムが増えることがある。壁のセット替えのタイミングで新しいジムを覗いてみたり、旅行先でボルダリングジムに寄ったり。
そんなとき、過去の記録を見返すと「このジムは傾斜がきつい課題が多かった」「あそこは初心者向けのセットが充実していた」と、ジムごとの傾向を思い出せる。
記憶だけに頼っていたら、こういう違いはすぐに曖昧になる。
続けられた理由は、たぶん記録だった
今のジムに通い始めて半年ほど経つ。最初に挫折したときと同じように、伸び悩む時期は何度もあった。
それでも今回は続いている。理由を挙げるなら、記録を見返せば「2ヶ月前は2級すら怪しかったのに、今は普通に登れている」と確認できるからだ。停滞している最中は気づけなくても、後から振り返ると、ちゃんと動いている。
記録は、成長を証明してくれるわけではない。ただ、忘れっぽい自分の代わりに、地味な積み重ねを覚えていてくれる。
それだけで、次のジムに行く理由になる。
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